母親の骨は大丈夫?骨粗鬆症の予防

 近頃テレビのコマーシャルで、カルシウムを増量した乳製品や健康食がやたらと目にとまる。
いずれも骨粗鬆症にかかりやすいといわれる女性をターゲットにしたコマーシャルづくりをしているのが特徴だ。病名がポピュラーになったのは最近だが、そもそもは、骨の老化現象として昔からあった症状。老人に見受けられる極端な猫背の原因は、実はこの病気だし、井上哲郎教授(浜松医科大学)の調査では、60歳以上の女性の半数がこの病気にかかってたという。
 つまり骨粗鬆症については、あなた自身よりもまず、母親のことを心配する必要があるのだ。
 骨粗鬆症になると、骨の中に目の荒い軽石のようなたくさんの孔があいて脆くなる。つまり骨密度が低くスカスカの状態になるため、ちょっとしたつまずきでポキッと簡単に骨が折れる。これ以外の症状としては、動き始めに腰背痛が起こりしだいに持続的に痛むようになったり、ひどいときには動いた拍子に背骨がつぶれ、激しい痛みとともに圧迫骨折を引き起こして、極端な猫背になってしまうというケースもある。
 女性がかかりやすい理由は、エストロゲンという骨の生成に影響を与える女性ホルモンが関係していて、40代から50代半ばの閉経期を境に急激に減少するため。浜松医科大学による調査結果の年代別発症率のデータでも、閉経後である50代から患者が急増している。年齢とともに患者は増加するが、骨粗鬆症になったからといって骨が細くなるわけではなく、折れてから初めてわかるケースがほとんどだ。
 骨粗鬆症は、日常生活の中で気をつけていれば予防は可能といわれている。カルシウムや骨をつくるのに役立つビタミンDをきちんと摂取していれば、そうでない食生活に比べて、骨折率に歴然とした差が出るという。
 また、若い頃から運動を愛好している女性や高齢でも習慣的に運動している女性の骨密度は、一般の人より高いことも明らかになっている。母親が運動を始めたいと言っているなら、負担のかからないウォーキングあたりから勧めよう。さらにビタミンDをつくる日光浴、動きやすい履物や服装、余裕をもって行動する気配りがあれば予防効果は高まる。

持病のあれこれ

 親が60歳を過ぎる頃になると、子供として気になることのひとつに『持病』がある。体は老化とともに、抵抗力、回復力などが鈍くなる。そのために、一度病にかかってしまうと根治せず、持病という形で長い間患ってしまったり、成人病に代表されるように長年かかって悪くなっていくケースもある。では、どんな症状が60歳以降の親たちに多いのか。
 とあるアンケート調査をみると、高血圧、糖尿病、腰痛が上位にランキングされ、ほかにも心臓病、高脂血症、目の疾患、肝臓病、通風、痔、喘息、ヘルニアなど、さまざまな持病があげられていた。その中には、1人で複数の持病を患っているケースもある。父親側に目立っていた前立腺肥大の場合、「夜中でも尿意にふりまわされて、不眠ぎみになっている」(元会社員・62歳)など、ひとつの持病がさらなる持病を引き起こす場合もある。
 人の健康状態を正確にあらわすのはむずかしく、ふだん医者にかかっていなくて病気とはいえない人でも、体のどこかに不快感を持っていれば、それは健康であるとはいえない。最近では医者にかかっている人を含めた形で自覚症状のある人を「有訴者」とし、その率で健康状態を表すようになった。
 厚生省の「有訴者」調査によると、男女ともに腰痛が目立つ。とくに男性は、年齢別でみても20代半ばから腰痛がダントツ。女性の場合は20〜60代前半までは肩こりが多く、65歳を過ぎると腰痛がトップとなっている。男女ともに70歳を過ぎるころから、目のかすみが上位に上がっている。胃腸の動きの低下で食が細くなったり運動量が減るためだろうか、便秘も5位以内にランクインされている。これらの症状のほかに、体のだるさ、手足のしびれ、耳鳴り、せき、歯痛、湿疹などが、60歳以降によくみられる症状だった。
「有訴者」のうち、年をとるにつれて医者にかかる率が高くなり、厚生省患者調査を見ても、平均入院日数が35〜64歳が45日であるのに対して、65歳を過ぎると79日。倍近くにその数字を伸ばしている。